神子元でゲストさんがロストしてしまい、行方不明になったことがありました。船上から全てのスタッフやゲストさんが四方八方を見渡して探しましたが、フロートを持ったゲストさんの姿はなかなか見つけられませんでした。特に時化ているわけでもなく、嵐でもない曇天の日。三階建ての大型ボートから数十名の人の目を以てしても、細いフロートを持ったゲストさんの姿を見つけることは出来なかったのです。もちろん私も一生懸命探しましたが、まったく見つけることができないことに愕然として驚きました。結局、遠くまで流された彼の姿を船長が見つけたのは、ロストから十分以上経ってからのことでした。しかし、スピードの上がる船の行く手にいくら目を凝らしてみても、何も見えませんでした。ようやくゲストさんの姿を認識できたのは、相当に近づいてからでした。もちろん彼の方からは私たちの乗る船は見えていて、ずっと船に向かってフロートを振り続けていたそうです。目立つと思われているフロートは、少し離れてしまえば「針」にも劣る目印でしかないことを私たちは経験則として知っています。
私たちインストラクターは海遊社で販売している旗を常備して潜っています。数キロ先からでもハッキリと認識できる大きな旗です。安全性を考えると、すべてのゲストさんに持っていただくのが一番なのですが、少し仰々しいこともあり、「ゲストが持つには大袈裟すぎる」とか、「持ちたいとは思うけれども、ゲストなのに持つのは恥ずかしい」という意見をよく聞きました。
ここで RIDGE DIVE さんが発案した折り畳み式フラッグが登場です。ドリフトでダイビングをするゲストさんのほとんどが、マンフロットの一脚の先に GoPro を取り付けて潜っています。長い棒を持っているのならば、旗の部分だけを持たせてみてはどうだろうと思いついたそうです。GoPro 棒の先端と根元に丸いリングをタイラップで固定しておき、スナップで旗をそこに取り付けるという仕組みにすれば、ゲストさんにも旗を持っていただけるのです。普段は折り畳んで BC のポケットに入れておけば良いので、邪魔にならないし仰々しい感じもありません。
早速量産してゲストさんに使ってもらうと反応はとても良く、実際に海外で使用された方もいらっしゃいましたが、十分に機能を発揮したとのことです。
実際にこの旗を持ち始めた方から聞いた感想は、「安心感が絶大である」ということです。「ロストするつもりは更々ないけれど、万一のことがあっても絶対に見つけてもらえるという安心感が物凄い」「遠征の時にこのフラッグを持っていくのを忘れてしまったら、不安で仕方なかった」などのご意見もいただきました。一度持ち始めてしまうと持たずには潜れない、依存度の高い逸品のようです(笑。
全てのドリフトダイバーがこの旗を持つ様になれば、漂流事故は確実に減るはずです。本商品はまなてぃダイブ好評発売中です(実用新案登録出願をしたそうなので類似品は使用できなくなる可能性があります。但し、個人的に自作して使用する分は問題にしないそうです)。他店様や通販での販売も只今準備中ですが、すぐに欲しい方は直接お問い合わせください。